論文を書くならWord?LaTeX?
はじめに
最近は論文を書いていますが、論文を書くときにMicrosoft Wordを使う人とTeXを使う人がいます。
Wordは皆さまがご存じの通り、Windowsの代表的なワープロソフトです。
TeX(または、LaTeX)は、日本語圏の人は「てふ」(または、「らてふ」)、英語圏の人は「レイテックス」というのですが、HTMLのような組版処理システムです。
通常は、秀丸やemacsなどのエディタで書いて、それをコンパイルし、PDFとして文書が出力されます。
私は、学生実験の時から5年位前まではTexを使っていましたが、最近はWordを使っています。
本質ではないけれどもテクニカルには必要な情報がある場合には、Electronic Supplementary Informationという付録を論文に付けます。
これは、学術雑誌の該当する論文のページから公開されています。
Electronic Supplementary Informationを書くのには、いまだにTeXを使っています。
化学や生物の人たちはWord、物理や数学の人たちはTeXを使う傾向があります。
TeXは数式を美しく出力するので、私たちはそのためにTeXを使っているのだと思われることがあります。
しかし、少なくとも私がTexを使うのは、論文を書くのに、Wordを使うよりもTeXのほうが圧倒的に楽だからです。
そこで、今回のブログでは、TexとWordの良いところをまとめてみました。
TeXで論文を書く
TeXを使う方法
コンパイラをインストールする
いろいろやり方はあるので、私がどうしているかという紹介をさせていただきます。
まず、論文を書くエディタは秀丸エディタを使っています。
秀丸エディタを使うメリットは、東京大学の阿部紀行様が配布されているのりてふというマクロでTeXのコンパイルが簡単にできることです。
少し前までは、阿部紀行様のホームページでTeXのインストーラーも配布されていましたが、今はTeX Liveが一般的のようです。
インストールの仕方は、次のサイトで詳しく紹介されています。
TeXLive2020をインストールしてLaTeXを始める | tm23forest.com
投稿したい雑誌のテンプレートは、多くの場合、雑誌のホームページに置いてあります。
しかし、スタイルファイルが足りなくて、たまにテンプレートをコンパイルできないことがあります。
その時には、エラーが出て足りないファイルを教えてくれるので、CTANからダウンロードします。
以上、すべて無料です。
Webサービス(overleaf)を使う
Oveleafのサイトでサインアップすると、すぐ使うことができるようになります。
たぶん、ほとんどの雑誌のテンプレートはカバーしており、選ぶだけで実装されます。
無料版では原稿1つにつき、2人まで編集できます。
テンプレートに必要なファイルを収集したり、共同研究者と原稿をシェアする手間は省けるかもしれません。
ただ、インターネットに接続できない状況では作業できないというデメリットがあります。
私の感じるTeXを使うメリット
簡単にコメントアウトできる
TeXは基本的にプログラムのようなものなので、行の最初に%を付けることによって、その行をコメントにする(コメントアウトする)ことができます。
コメントアウトされた行は最終的な文書に反映されません。
英語で論文を書く場合は特に、各前に論文の設計をしますよね。
各セクションや段落の役割をメモしておくのにこの機能は便利です。
ただ、これについては慣れの問題で、Wordでも近しい機能や工夫はできるでしょう。
数式番号、図番号、文献番号を自動で更新する。
論文を書き直している間に、図、数式、文献が増えたり、減ったり、順番が変わったりすることがあります。
そのようになった時、TeXでは自動的に図、数式、文献の番号を自動で更新してくれます。
数式を書くのが楽。
Wordの数式エディタは、カスタマイズの幅がだいぶ狭いですよね。
TeXはその点自由度が高く、これまで書きたかった式が書けなかったということはなかったと思います。
昔書いた原稿がコンパイルできなくなることは基本ない。
最近ではWordでも後方互換があるのであまりメリットではないかもしれませんが、TeXはそれに関しては何の問題もありません。
ヘッダーを変えるだけでスタイルを変えることができる。
ヘッダーを変えるだけで雑誌のスタイルを変えることができます。
BibTeXを使っている場合は、参考文献のスタイルも自動で変えてくれます。
校正のとき比較的手間がかからない。
論文が受理されると、雑誌側から校正刷り(ゲラ刷り)が送られてきます。
これはどちらかというとWordのデメリットかもしれませんが、Wordで原稿を書くと、数式周りでほぼ必ずスペースや行がおかしい校正刷りが返ってくることが多いです。
TeXで同じようなことはあまり起こりません。
ファイルが軽い
TeXのファイルは基本的にテキストファイルなので、Wordと比べて非常に軽くなります。
アートワーク
基本的には、図をepsで貼り付けるので、IllustratorとかInkscapeとかを使う傾向があります。
今は図をPDFで貼り付けることができるので、この傾向は弱くなったかもしれません。
まとめ
総じて、書きやすいというよりは、設計や修正のときに便利といったところでしょうか。
おそらく、書いている時間よりも、修正したり考えたりするのに時間を使う人もいらっしゃるとおもいます。
その場合には、TeXは使いやすいと思います。
Overleafができてからだいぶ楽になりましたが、初期設定に手間がかかるのはデメリットかもしれません。
Wordで論文を書く
私が感じるWordを使うメリット
使用するのに手間があまり必要ない。
ほとんどの場合、Wordはプリインストールされているので、前述のようなTeXを使うときのような手間はかかりません。
直感的な操作で文書を作成できる。
TeXはHTMLのようなもので、コマンドを使う必要がありますが、Wordでは直感的な操作で文書を作成することができます。
WordPressを使うのと似ていますね。
私もTeXのコマンドはある程度覚えていますが、HTMLはあまり覚えていないので、WordPressを使いやすいというのはあります。
ユーザーが多い。
TeXユーザーよりもWordユーザーの方が多いので、Wordで論文を書いたのに、TeXに直してくださいと言われることは少ないです。
Word原稿を受け付けない雑誌は(たぶん)ない
前のポイントと似ていますが、TeXの原稿を受け付けない雑誌はあって、後からWordに直すように言われることはありますが、逆は今のところ経験したことがありません。
編集の履歴を自動で残すことができる
共著者全員で原稿を直しているとき、だれがどんな修正をしたか、自動で記録してくれます。
私の中ではこれがWordを使う最大のメリットかもしれません。
アートワーク
私はいまだにIllustratorを使っているのですが、Wordユーザーの多くはPowerPointで図を作っているそうです。
まとめ
総じて、便利機能はあまりないけれども、直感的で書きやすいところでしょうか。
便利機能はお金次第で何とかなるというのもありますね。
