任期付きポジションにつく人に知ってほしいこと

tetsu

はじめに

任期付きポジション

任期付きポジションとは、その職務につける時間があらかじめ決められているポジションです。

今の日本の大学や研究所では、ポスドクだけでなく、多くの助教や准教授も任期付きポジションです。

特任准教授など、「特任」とつくポジションは、ほぼもれなく任期付きです。

任期付きポジションの中には、テニュアトラックとよばれる審査を通過したら任期なしに移行できるものもあるのですが、いかなる理由があれどもバッサリ切られてしまうデッドエンドのポジションもあります。

ポスドクの任期は2~3年、助教・准教授の任期は5年くらいが標準でしょうか。

この記事では、助教・准教授クラスの任期付きポジションに付こうとしている方、付いている方に伝えたいことを書きます。

立場上は、私自身が新しいポジションについた後にこの記事を投稿するのがベストです。

しかし、対策は速い方がいいので、タイムリーに投稿させていただきます。

科学研究をつづけるリスク

実力や成果があれば安全かと言われると、そんなこともありません。

私の研究所の教授の先生の1人に、その先生の専攻ではどのように人事選考が行われるのか聞いてみたことがあります。

そのとき、少なくともその先生の専攻では、減点法で選んでいると言われました。

優秀な人が欲しいとか、これからの日本のサイエンスに必要な人を採るとかそのようなことではなく、だれか1人を選ばなければならないので、そのための理由が欲しいときに使うのが減点法ですよね。

また、日本の場合には、公募の前にすでに候補者を決める場合が多いですし、ほぼその候補者に決まっている、いわゆるデキ公募などもあると言われています。

もちろん、専攻によっては純粋に実力と成果や、候補者の分野と専攻との相性で審査しているところもあると思います。

しかし、実情は外からは分からないので、フェアに選ぶ専攻がどれくらいあるのかわかりませんし、必要な時にたまたま自分に合う職種の公募が出るとも限りません。

このような状況ですので、任期の間に次のポジションが見つからず、サイエンスのキャリアをあきらめなければならなくなることもあります。

大学・研究所を離れたらすぐに企業の職が見つかるかというと、企業でのキャリアがないのでむしろ難しくなります。

そうすると生活すら危うくなります。

日本は科学技術立国といいつつ、科学研究を続けることはかなりのリスクです。

知っておいてほしいこと

任期が近づくとメンタルがやられる

私も特任准教授という任期付きのポジションについています。

テニュアトラックではなく、デッドエンド型です。

任期までに次のポジションを見つけるべく、数年前からポジションへの応募は行っています。

しかし、かなり苦戦しています。

正直に言いますと、任期までにポジションが見つかるのだろうかという不安で押しつぶされそうです。

不安といっても二種類の不安が混ざっていると思います。

一つ目の不安は科学研究を続けることができなくなること、二つ目の不安は生活のことです。

それ自体はあらかじめ予測できたことなので、私は早めに就活を始めました。

しかし、苦戦して、いざ任意までもう少しという状況となってみると、ストレスは想像しているよりも深刻です。

しかも、周りはあまりその状況を理解してくれません。

学生のころからずっと同じ大学にいる人や50代後半の教授の先生は、任期付きポジションについた経験がないでしょうからね。

毎日の研究のために避けたくても、ストレスは睡眠や食欲に影響を与ます。

そんなものは気持ちの持ち方次第でどうにかなると思われている方は、任期間近の経験がない人か心臓がチタンでできている人でしょう。

対策が遅すぎたこと

私は、早めに就活を始めるという対策は打っていましたが、ダメだった時のバックアップを始めたのはつい最近です。

「ダメだった」というのは科学研究を続けることができなくなった時なので、バックアップは生活に対するものです。

今、本当に後悔しているのは、ダメだった時のバックアップをするのが遅すぎたことです。

何も対策していないと、任期が終了してしまったときに、収入がなくなるために生活も困難となります。

その対策として、いろいろなことが考えられると思います。

1つの選択肢は投資です。

適性がある人とない人がいますので、読者のみなさまを投資に誘いたいわけではありません。

投資はあくまでも自己責任です。

しかし、選択肢の1つとして知っておくのは重要だと思います。

私が後悔しているのは、投資の本質を知らなかったために、対策が遅れたことです。

読者のみなさまが投資をするかどうかということは、ぜひ慎重に検討してください。

まず、私は投資をギャンブルのように考えていて、できるだけ関わりたくありませんでした。

というのは、インデックス投資のように、長期保有によって収益を得ることができる投資法を知らなかったからです。

とはいえ、人類の経済活動は成長し続けるという仮定のもとで増えるものですので、それが止まると収益も止まります。

例えば、オルカンを見ていただけるとわかりますが、短期的には、標準価格が増えたり減ったりしますので、短期目線ではギャンブルの様になってしまいます。

長期的にみると、標準価格が増えていきます。

少なくとも、今のところは。

問題は、インデックス投資には、時間が必要だということです。

ですので、対策を早くすれば早くするだけ、ダメだった時のバックアップとなる確率が高くなります。

任期が5年だとすると、任期付きポジションに付いた直後、または、その前から準備しておくことが望ましいでしょう。

二つある不安のうち、一つを解決できるめどが立っていたら大きいですよね。

その考えに至らなかったこと、投資のことについてつい最近になるまで知ろうともしなかったことは本当に後悔しています。

ただ、投資をはじめる前に、いろいろ調べる必要があるので、そのための時間は必要です。

また、心配事が1つ増えるので、やっぱり、投資には向き不向きがあると思います。

ただ、選択肢の1つとして知っておくことは、重要だと思います。

後悔していないこと

とはいえ、私も元の研究室にずっといるという選択肢がなかったわけではありません。

それを放棄して海外にポスドクに行ったことを後悔しているかというと、実はそんなこともありません。

ずっと元の研究室にいたら、その時にできることから研究テーマを選んでいたと思います。

海外でポスドクをするという選択をしなければ、今の研究はできなかったと思います。

大学・研究所が考えてもいいと思うこと

実を言うと、このブログもダメだった時のバックアップのために始めたことです。

私が習得してきたこと、研究してきたこと、考えてきたことがどれくらいの市場を持っているのか知りたかったのです。

本当は、どれくらい収益が得られるものかということも知りたく、大学に許可を申請したのですが、ダメでした。

現在の大学や研究所では、研究活動を広く伝えるアウトリーチ活動が重要になっています。

大学は文部省からの補助金に頼らずに、特許などで収益を得ることが奨励されています。

ブログ執筆と収益化を大学主導で行い、収益の一部を研究費として還元するみたいなこともできたらいいのにと思います。

まあ、利益相反などで難しいですかね。

ABOUT ME
山本哲也
山本哲也
キンメダイ美術館のサイエンティスト
電子工学で学位を取得後、理論物理学者になるため、ドイツ、イスラエル、中国で修行。現在は、習得した理論物理学を使って遺伝子発現制御のメカニズムを明らかにする研究をしています。研究だけでなく、趣味やいろいろ考えていることなどお話ししたいと思います。
記事URLをコピーしました