物語の設計の仕方ーTales of Xilliaの物語設計の分析
日本は物語の設計に関する国語教育が弱い
日本の国語教育は、文学を読むことに特化していますよね。
文系のセンスのない私は、人にエモいと勧められてアニメを見て何がエモいかよくわからないことがあります。
感動する、泣くと言われた作品を見て、どこで感動して泣けばよかったの?という状態でエンディングを迎えることもあります。
文学方向に対する子供の感性を育てるという意味では、非常に重要なことです。
しかし、物語の設計の仕方については、少なくとも普通科の高校までで習ったことはなかった気がします。
習ったらできたかと言われると微妙なのですが、結構重要な技術な気がします。
論文を書く上で、ストーリーが重要だと言われます。
でも、ここでいうストーリーは、「物語」というより、話の道筋をつくるというような意味合いです。
論文は、重要なポイントを簡潔に報告するのが目的です。
論文を書く上では、ここでいうところの物語の設計は必要ないと思います。
論文で本当に物語を展開しようものなら冗長でしょうがなくなりますものね。
しかし、逆に言うと、論文は初学者にやさしくありませんし、(よく言われる言い方をすると)教育的ではありません。
広くサイエンスを伝えようとすると、物語はひとつの手段かと思います。
このブログの目的は、私の持っているサイエンスを、人が読んでいて楽しめるコンテンツにすることだと思います。
つまり、エンタメ化ですね。
ブログを書き始めてからというもの、この物語ってどのように設計されているのだろうという視点でアニメやゲーム作品を見るようになりました。
Tales of Xillia
私はときどきRPGをたしなむのですが、最近Tales of Xillia(TOX)という作品をクリアしました。
この作品は、バンダイナムコゲームズから発売されているテイルズオブシリーズと呼ばれる作品群の1つですが、それぞれの作品でプレイヤーに訴えかけるテーマがあるんですよね。
すべてやった訳ではないので、無いものもあるのかもしれません。
私はいわゆるサブカルにあまり触れてこなかったのですが、触れ始めたころにはプレイステーション4(PS4)の時代で、プレイステーション3の作品であるTOXはプレイできなかったんですね。
しかし、2015年10月30日にリマスターされて、晴れて現行機でプレイすることができるようになったので、予てからプレイしてみたかったこのRPG作品をプレイしてみました。
ちょびちょびやっていたので、結構かかりましたね。
ところで、リマスターはされましたが、世間的にはTOXはそれほど評価の高い作品ではありません。
ボリュームが小さいというのがその理由だそうです。
私は結構楽しめました。
しかし、この評価もちょっとわかるなと思うのは、この作品、前半と後半に分かれていて、後半がちょっとぶつ切れなんですよね。
後半を作ってみたけれども、短くなってしまったからもう少し付け足そうかということが2-3回あったような感じでした。
ミュゼという登場人物の登場が唐突でしたし。
登場人物の分析
この作品のテーマは、「主体性」だと思います。
主要な登場人物を見てみましょう。
まず主人公の1人はジュード君という医学生です。
教授に指導されている身ですので、重要な意思決定を教授に任せがちな立場です。
もう1人の主人公のミラさんという、世界を守ろうとするお姉さんです。
他にも4人仲間になる人物がいます。
1人目に仲間になるのが、アルヴィン君という傭兵(おじさん)です。
傭兵ももちろん雇い主がいますし、生活のために雇い主を選べなかったりするので、自分で意思決定をしにくい立場だと思います。
世間的には、アルヴィン君は非常に嫌われているキャラクターです。
私は大学にやとわれている研究者です。
企業にやとわれているビジネスマンの方もたくさんいらっしゃいます。
実は、現代社会の大多数と近い立場にいるのは、アルヴィン君かもしれません。
2番目に仲間になるのは、エリーゼちゃんです。
エリーゼちゃんは、まだ小さい女の子なのですが、両親を野党に殺されてしまった孤児です。
この子の設計は、正直ちょっとよくわからないです。
両親がいないので大人慣れしていない上に、大人である他人の中の子供なので生物学的に弱い立場ということなのか。
単純に子供だから意思決定を大人に任せやすいということなのか。
3番目に仲間になるのは、ローエンさんという執事のおじいさんです。
仕えているご主人様がいる立場なので、やはり意思決定を任せがちです。
ここで止めてもいいのですがあと1人なので紹介すると、4番目に仲間になるのは、幼馴染のジュード君に恋焦がれるレイアちゃんです。
恋人とか配偶者に意思決定を任せがちな人もいるので、それを象徴しているのでしょう。
このように、登場人物に主体性を持ちにくい立場の初期設定をあたえています。
自分の意志で行動し、それに責任を取る
物語は、ジュード君がミラ・マクスウェルさんと成り行き上出会い、彼女を助けるために同行することから始まります。
最初は本当に手伝うだけで、自分の意志で行動はしません。
後に仲間になる登場人物もそうです。
前半部分は、ミラさんの世直しに付き合うお話です。
後半部分で、実はミラさんも世界の創造主的な人の言うことを聞いているだけだったということが分かります。
世界のしくみがだんだんわかってきて、その中で自分はどのように行動すべきかということを登場人物が見つけていく物語です。
物語の途中で出てくるジュード君のお父さんが、大人になるということは、自分の意志で行動し、それに責任を取ることだということを言います。
たぶん、作品のテーマはここにあるのだと思います。
しかし、闇雲に意思決定することはスマートではありません。
意思決定をするためには、その材料となる情報が必要です。
意思決定をするのに必要な情報を自分で取りに行く、必要であればそこが海外であっても現地に足を運び、必要なことを習得することも重要なのだと思います。
ボリュームが小さいことで評価されていない作品ですが、お忙しいみなさまにとってはちょうどいいサイズ感かと思います。
面白い作品だと思いますので、ぜひプレイしてみてください。
特に、研究者の中で、自分の指導教官やボスのテーマを追い続けている人にはぜひプレイして、考えてほしい作品です。
