米国国債を買ってみて分かったこと
はじめに
日米欧とも、コロナ渦以降、インフレが続き、それを抑えるために政策金利が引き上げられています。
これで、長らくゼロ金利時代であった日本に、金利のある世界が訪れました。
奨学金や住宅ローンなど、お金を借りている側からすると金利は鬱陶しいことこの上ないですよね。
しかし、貸す方からするととても助かる状況になってきました。
一番身近なところでは、銀行預金の利率が加速度的に増えてますよね。
数年前には0.01%とかでしたのに、今は0.5%です。
銀行はいろいろな融資を行って利益を得ますが、その主力となっているのが国債の利子です。
国債とは、国にお金を貸した借用書です。
銀行は、国債で得た利息の一部を預金の利息として我々に配っているので、一般的には国債の方が利率が大きいです。
今では、預金利息が年0.5%、日本の個人向け国債の利息が2%前後です。
もちろん、このシステムは日本だけでなく、アメリカにもあります。
アメリカの金利は現在結構高くて、米国国債の利率が4~5%程度となっています。
リスク資産である高配当株でも配当金は3~4%程度ですので、安全資産なのにそれよりも利率の高い米国国債に注目が集まっています。
ということで、米国国債を買ってみていろいろ分かったことがあるので、それについてお話ししたいと思います。
米国国債は本当に安全資産か
安全資産とリスク資産
安全資産とリスク資産という言葉をもう使ってしまいましたが、もうすこしどんなものか詳しく説明します。
銀行預金は、安全資産の典型例です。
お金を銀行に預けていても、金額が減ることはありませんよね(元本保証)。
このような資産を安全資産と言います。
ただし、安全資産が安全であるのは、あくまでも短期的な視点です。
長期的には、経済が成長すればインフレによって物の値段が上がるので、預金額が変わらなくても、実質的な価値は目減りします。
また、銀行が潰れれば、保険で補償されている額までしか守ることができません。
一方、株は、リスク資産の典型例です。
株の価格は、時々刻々と変わりますので、短期的に見れば損することがあります。
一方、長期的には、経済が成長すれば株の価格が上がるので、インフレに強い資産となります。
ただし、株を発行している会社が潰れれば、その限りではありません。
日本の個人向け国債は安全資産
米国国債の前に、もう少しシンプルな日本の国債の話をしましょう。
国債は安全資産とカウントされることが多いと思います。
特に、日本の個人向け国債は、元本保証されているので、ほぼ完全に安全資産です。
満期(補償日)まで持っていると元本が返ってくるのはもちろん、途中で売っても元本がもどってきます。
しかし、国債を買ってから1年間は売ることができません。
また、途中で売ったら、売った時から過去二回分の利息を変換しなくてはならないペナルティがあります。
国債は半年に1回利息が付きますので、過去二回分は1年分の利息ですね。
ですので、性質としては定期預金に近くいですね。
銀行の定期預金に預けるのであれば、国債を買った方が利息が良いということですね。
個人向け国債は手数料無料です。
利息に税金はかかりますが、それは銀行預金も同じです。
新窓販国債は条件付きで元本保証
我々個人は、「個人向け国債」と「新窓販国債」の2種類を買うことができます。
新窓販国債の方が利率がよく、補償日に元本「相当額」が返ってきます。
「相当額」の意味は後でお話しします。
しかし、こちらは価格が市場で決定するので、途中契約すると、状況によっては損が出ます。
国債の価格は金利と関係があります。
金利が上がると国債の価格が下がります。
新しい国債の方が利息が高いので、すでに買ってある利息の低い国債の価値が相対的に低くなるからです。
逆に、金利が下がる局面では、国債の価格が上がります。
ですので、新窓販国債は、補償日まで持ち続けるという条件付きで安全資産です。
米国国債も補償日まで持つと元本「相当額」が返ってきますし、途中で売ったらその価格は金利と連動して変化しますので、新窓販国債と似た性質を持っています。
しかし、1つだけ重要な違いがあります。
国債にかかるリスク
国債には、2つの基本的なリスクがあります。
1つ目は信用リスクです。
日本の国債でしたら、日本が破綻してしまうと元本が返ってきません。
まあ、日本は円の発行元で、借金はほぼ円建ての国ですので、破綻することはほぼないと思いますが。
国が破綻してしまい、国債の元本が返ってこないことをデフォルトといいます。
2つ目は価格リスクで、国債の価格が金利によるので、損することがあるということです(前節)。
日本から米国国債を買うと、実質リスク資産
日本から米国国債を買うとすると、もう1つリスクが増えます。
為替リスクです。
つまり、国債を買った時の円が安く、補償日、または、売った時の円が高ければその為替分だけ損するということです。
7月末の協調介入まえには1ドル163円くらいでしたが、数日で155円までに下がりました。
5%程度ですよね。
それって、1年の利息と同じくらいです。
為替は時々刻々と変わります。
ですので、アメリカから米国国債を買うと条件付きで安全資産かもしれませんが、日本から買うと実質リスク資産です。
日本の個人向け国債は、3年、5年、10年の三種類しかないのに対し、米国国債は様々な期間のものがあるのも魅力の1つに見えると思います。
しかし、為替リスクのために、短期の米国国債はお勧めしません。
設定によっては補償日にドルで返ってくるので、円安になるまでキープするという手もあるにはあります。
ただ、短期にしたということはある程度すぐ必要になるということだと思うので、そんなこともできないでしょうしね。
米国国債のコストについて
債券ファンドと生債券
米国国債を買う方法は2つあります。
まず、米国国債を扱う投資信託である債券ファンドを買う方法です。
債券ファンドは、ファンドマネージャーが債権を売ったり買ったりして儲けを出し、その一部を受け取るものです。
この場合には、ファンドマネージャーが運用してくれるので、コストはかかりますが、売買を考える必要がありません。
債券ファンドはまだやったことがないので、今回は取り上げないことにします。
一方、生債券とは、債権そのものを買うことです。
これまで説明してきたのも、生債券を直接買う場合です。
どちらを買う場合にも、日本の税金はかかります。
一方、債券ファンドを買うとアメリカの税金もかかるのですが、生債券ではアメリカの税金はかかりません。
米国国債の手数料
個人が買える米国国債は、すでに発行されている既発債です。
米国国債は100を単位として価格が表示されますが、金利によって、100以下の価格(アンダーパー)だったり、100以上の価格だったりします(オーバーパー)。
単位100に対しての利率を表面利率と言い、米国国債○○%という銘柄は表面利率を示します。
実質利率 = 表面利率 × 100/実際の価格
です。
つまり、アンダーパーだと実質利率が上がり、オーバーパーだと下がります。
名目上は、米国国債を買うときに手数料はかからないことになっています。
実際には、手数料が米国国債の価格に入っています。
いろいろ情報を集めてみると、手数料は買うときの価格に反映していることになっています。
しかし、買った時(約定日)の価格よりも、高い価格で買ったことになっているんですよね。
本当に表示価格の中に手数料が入っているのか、本当は買った後に手数料を上乗せされているのか、少しダウトが出てきました。
後だと出たとこ勝負ですものね。
99.5だったのが100.2になっていたので、結構大きいですよね。
経過利子
たとえば、100ドルの国債を買うとしても、既発債の場合100ドルで購入できないことがあります。
というのは、既発債では、利払い日に利息が必ず満額支払われるルールになっているので、買った日とその前の利払い日の間の利息分を追加で支払う必要があるからです。
この費用を経過利子と言います。
国債を買う100ドルと一緒に経過利子も一緒に払わなければなりません。
ですので、米国国債を買うと何故か入金余力が減っているということが起こります。
それは経過利子分が減っているのです。
最初の利息の支払いでその分はカバーされますが、米国国債をドルで買うとしたらあらかじめ経過利子まで両替しなくてはならないのはしんどいですね。
証券会社によっては、円で直接買うことができますが、両替手数料が違うことがありますからね。
両替手数料を払ったとしても、円で直接買う方が最終的には良いのかもしれませんね。
まとめ
・日本の国債とは異なり、米国国債には為替リスクが付きますので、実質リスク資産である。
・米国の生債券はコスト関係が複雑
米国国債は安全資産、手数料無料という人もいるのですが、やってみるとそんな感じでもないんだよなというお話でした。
2~3年の短期間でしたら、日本の国債が無難かなと思ってきました。
